一生かけて
サカナクションの山口さんに何度も救われている。
今の私があるのも山口さんのお陰だ。
中日ドラゴンズがBクラスに定着して早幾年。
満塁なのに点が入らない。
勝ちを確信した点差からの逆転負け。
じわじわと膨らんでいく借金。
毎年毎年、今年こそはと応援するものの、ちっともAクラス入りするような雰囲気がない。順位だけならまだしも試合内容も散々。期待する気持ちが何度も打ち砕かれて辛かった。
こんなに頻繁に辛い思いをするぐらいなら、いっそファンを辞めてしまった方が日々楽しく過ごせるかもしれない。そう真剣に考えていた。
そんな時に山口さんがドラゴンズについて語っている新聞記事を見かけた。
低迷するドラゴンズの事を質問された山口さんの答えが、胸に響く。
「低迷期があった方がストーリーがあり、バンドも野球チームも面白い。出場チャンスを得た選手を見られるし、何の心配もしていない。一生かけて応援するわけだから」
「一生かけて応援するわけだから」
その言葉はまるでドラクロワが描いたマリアンヌの如く私の心を照らし導いてくれた。きっと私だけでなく多くのドラゴンズファンもまたあの絵の様に導かれた事だろう。
そう、山口さんのお陰で私は今でもドラゴンズを応援する事が出来ている。
悔しい時、辛い時にあの言葉を思い出すと、自然と気持ちが前を向く。
1試合、1シーズンで区切る必要なんてない。
選手の成長を見守り、試合結果に一喜一憂し、辛い時にこそチームを支える声になり、いつか訪れるだろうその日を待っている。
3年後なのか5年後なのか、はたまた10年後なのか。
名古屋ドームに紙吹雪が舞う時、今までのエラーも借金も、悔しさも悲しみも消えてなくなるに違いない。
2019年、シーズン終盤までクライマックスへの夢を抱き、若い選手たちの躍動をひしひしと感じる事ができた。
来シーズンへの期待は膨らむばかり。
ひょっとしたら来年は。
ひょっとしなくても来年は。
ドアラクション 山口一郎
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